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恐怖心霊現象 怪談百物語 第五話 壁の中から

むかしむかし、あるところに、仲の良いおじいさんとおばあさんがいました。
二人は、ある晩、
「なあ、ばあさんや。どちらかが先に死んだら、
お墓には入れないで家の壁に塗り込めよう。そうすれば、
いつまでも一緒にいられる」
「そうですね。そして死んだ者が、壁の中から呼んだら、
必ず返事をする事にしましょう」
と、約束しました。

ところが間もなく、おばあさんがポックリあの世へ行ってしまったので、
おじいさんは約束通り、おばあさんの亡きがらを壁に塗り込めたのです。
すると、その日から毎日、
「おじいさん、いるかい?」
壁の中のおばあさんが聞いてきます。
「ああ、ここにいるよ」
「何をしているんだい?」
「わら仕事だよ」

またしばらくすると、おばあさんが聞きます。
「おじいさん、いるかい? 何をしているんだい?」
一日に何度も聞かれるので、おじいさんはだんだん面倒くさくなってきました。
「誰か、わしに代わって返事をしてくれる者はおらんかなあ?」
おじいさんがため息をついていると、うまいぐあいに旅の男がやってきました。
「すみません。旅の者です。よければ一晩、泊めていただけませんか?」
それを聞いたおじいさんは、大喜びで言いました。
「どうぞどうぞ。遠慮なく泊まっていってくれ。その代わり壁の中から、
『おじいさん、いるかい?』と、声がしたら、『ああ、ここにいるよ』と、答えてくれんか。
『何をしているんだい?』と、聞かれたら、適当に答えてくれりゃあいい」
「はい。そんな事なら、おやすいご用ですよ」
旅の男が引き受けてくれたので、おじいさんはやれやれと、お酒を飲みに出かけました。

留守を頼まれた男は、壁の中のおばあさんの声に、いちいち答えていましたが、何度となく聞かれるので、やがて面倒になってつい、
「うるせえなあ。おじいさんは酒を飲みに出かけたよ」
と、本当の事を言ってしまったのです。
すると突然、ガバッ!  と、壁が破れて、半分がガイコツの、ものすごい顔のおばあさんの幽霊が飛び出してきました。
「おじいさんは、どこだーー! お前は誰だーー!」
「うひゃあー! でっ、出たーー!」
男は驚いたのなんの、命からがら逃げていきました。

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